サイコン、ボトル、予備チューブ取り付け位置によるエアロ効果

【1%の積み重ね】サイコン・ボトル・予備チューブの位置によるエアロ効果!(自転車科学)

今回はマージナルゲインを追い求めたい方のための少しマニアックな記事になっています。

サイコンを取り付ける位置

この実験ではサイクルコンピュータを取り付ける際にマウントを使用した場合とステムに取り付けた場合の空気抵抗を比べています。(参考動画はこちら

サイコンを付けてないときと比べて、40km走った際にステムに取り付けた場合、8秒遅くなるという結果になりました。

これは時速40kmに換算すると1.69wに相当します。サイコンをステムの上に付けることによって前方投影面積が増えたためと考えられます。

次はマウントを使用してサイコンを前に出したパターンです。

マウントを使用することによってサイコンを付けていない状態と同じにすることができます。

平地において重量の影響はほとんど無いので、マウントを使用した方が速いです。

ここで、問題になるのは果たしてヒルクライムにおいて、ステムに置く軽量化の効果とマウントを使用した際のエアロ効果どちらを取るべきなのでしょうか?

まずは、いつもながらヤビツ峠(距離11.8km平均勾配5.5%)で検証させていただきます。時速20kmにおけるマウントによるエアロ効果は0.211wです。

これを重量に変換すると、60g以上のマウントならヤビツ峠においてはサイコンをステムに取り付けた方が速いということです。

もっと詳しく分析していきます。

まずは、サイコンマウントの重量が載っているメーカーを簡単に調べてみました。

サイコンマウント重量

今回はサイコンマウントによる重量は20gということにします。時速20kmで走行したときに各勾配においての効果をグラフにしました。

サイコンマウントによるエアロ効果

このグラフから時速20kmの場合、約18.2%を超えるとサイクルマウントを付けない方が速いということになります。しかし、20km/hで18.2%の坂を上るには800w必要かつ、日本一の急坂と言われる暗峠でも平均勾配15.1%です。

時速15kmの場合、10%以上。時速10kmの場合は4%以上でサイコンマウントが無い方が速く走れることになります。

この僅かな速さを求める方は中級者以上の方が多いと思うので、99%のコースにおいてサイコンマウントを付けた方が速いです。(日本屈指の激坂であるあざみラインですら、15km/hを超えたらマウントを付けた方が速いです。)

※マウントの重量が40gの場合でも勾配9%(20km/h)まではマウントありの方が速いです。(15km/hで4%)

科学的にはマウントとサイコンが一緒になって24gキャットアイのCC-RS100Wが最も速いということになりそうです。

予備チューブを入れる場所

この実験では予備チューブを入れる場所によってのエアロ効果を比較しています。(参考動画はこちら

1.サイクルジャージのポケットに入れる

2.自転車用ストラップなどを使用してサドルの後ろに置く

3.ツールケースの中に入れて、シートチューブに取り付ける

実験結果

40km走行した際にツールケースに入れた場合のみ2秒遅いという結果になりました。

時速40kmに換算すると0.4wに値します。

基本的にレースで予備のチューブを持って走ることは少ないと思うので、0.4wというのはあまり気にしなくてもいいのかなと思います。

個人的にはツールケースは六角レンチやタイヤレバーなど様々なものが入るので0.4wならむしろ良い気がしますが、真の速さを求めるならサイクルジャージの中に入れるかストラップなどを使用するのが良いでしょう!

(私はVittoriaのツールケースを使っていますが、価格も安く使い勝手もいいのでおすすすめです)

自転車用のストラップはSUPACAZも販売しています。

ボトルの位置、最速ボトル紹介!

Specializedはボトルの位置についても実験を行っています。以下の3種類を比較します。(参考動画はこちら

1.ダウンチューブ

2.シートチューブ

3.サイクルジャージのポケット

実験結果

40km走った際にシートチューブを基準にダウンチューブは25秒短縮、サイクルジャージのポケットは38秒短縮できるという結果になりました。

レースや冬場で1本しかボトルを使わない場合は利便性が良くエアロ効果も高いダウンチューブに置くようにしましょう。

これはかなりの差でシートチューブに比べて5.3w削減することができます。

サイクルジャージのポケットに入れるのが最も速いという結果になりましたが、UCIにはボトルはダウンチューブかシートチューブのみに設置することというルールがあるので注意が必要です。また、ボトルの断面寸法は4~10cmではないといけないというルールもあります。

ロードレースにおいて選手がエアロボトルを使用しないのはこれらのルールがあるからです。

現状、ロードレースにおいて最も速いボトルはELITEのCRONO TTだと思われます。

crono tt引用:elite

このCRONO TTは名前の通り、タイムトライアル用のボトルです。

風洞実験を経て設計されており、容量400mlのボトルと専用カーボン製カーボンケージによってエアロダイナミクスと軽量性を兼ね備えています。総重量89g(ボトルケージ:25g/ボトル:64g)

多くのプロ選手もタイムトライアルにおいてCRONO TTを使用しています。

cronottボトル
引用:ineosgrenadiers

オリンピックの個人TTでも上位5位の内2人の選手がCRONO TTを使用していました。

CRONO TTはボトルケージとボトルがセットで9,400円もします。ボトルだけなら700円程度で購入することが出来ます。専用のカーボンボトルケージが8,000円以上を占めているということです。ボトルだけはこちら

しかし!以前Twitterなどで少し話題になった方法を使えば、安く導入でき、さらに軽量化もできる方法があります!

スパカズのFly Cage Anoはアルミ製なのでサイズを変形することができ、重量も18gと非常に軽量です。(メーカー公表重量)

全10色とカラーも多く、2,000円程度で購入できるカラーもあります。CRONO TTのボトルケージより軽量かつ安く購入することが出来ます。

計算条件

上記計算に使用した条件です。また、数値に若干のずれが生じることがあります。
※CdA:0.277[m^2]は、ドロップハンドルを握っている体勢における値です。

計算表

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