鳴子章吉サムネ

【弱虫ペダル】鳴子章吉がサドルを投げ捨てた効果とは!!(自転車科学)

今回は息抜き自転車科学です。弱虫ペダル漫画第255話の「大阪の男」、アニメ版では弱虫ペダルNEW GENERATION第6話「鳴子vs御堂筋」にてなにわのスプリンターこと鳴子章吉はゴールスプリント直前にボトルとシートポスト・サドルを投げ捨てています。
まずは鳴子章吉のプロフィールやこの出来事が起こるまでの簡単な経緯を紹介していきます。

プロフィール

鳴子章吉は小柄ですが目立つことが大好きな、大阪府出身の髪や愛車も真っ赤な総北高校2年生の選手です。

鳴子章吉のプロフィール
自転車はイタリア製のPINARELLOのPRINCE(プリンス)(恐らく2009年モデル)を使用しています。参考価格:465,000円

プリンス2009引用:www.81496.com

鳴子章吉は生粋のスプリンターだったので、2年生になった時に平坦に強いカーボン製ディープリムホイール(ZIPP)に変更しています。参考価格:約30万円

周りのチームメイトにもこの高級ホイールを自慢していたのですが、ある出来事をきっかけにこの高級ホイールを使うことを辞めました。

プロフィール表の脚質の部分にもオールラウンダ―(元スプリンター)と書かれているように元々は「速いのが1番目立つ」という理由でスプリンターとして走っていたのですがある出来事をきっかけにオールラウンダーに転向します。

そのある出来事こそがサドルを投げ捨てた「鳴子vs御堂筋」の戦いです。

サドルを投げ捨てた経緯

簡単に説明すると鳴子章吉は総北高校を強くする答えを求めて地元の大阪に帰省し、草レースに参加します。

そこに京都伏見高校の御堂筋翔(以下御堂筋君)が現れ、「大切なもの」をかけて1対1の勝負をしました。鳴子章吉は「負けたらスプリンターを辞める」御堂筋君は「負けたら来年のインターハイは総北高校をサポートする」というものです。

この勝負で鳴子章吉はゴールスプリント前にボトルを捨て、サイクルジャージのジッパーを締め、シートポストごとサドルを抜いて究極の軽量化をします。
そこまでして鳴子章吉は勝つことにこだわったのですが、結果は勝負に負けてしまいます。この出来事をきっかけに鳴子章吉はスプリンターを辞め、オールラウンダーとして総北高校を支えていくことになります。

私はこの話を見て2つの疑問が思い浮かびました。

果たしてボトルを捨て、ジッパーを締め、サドルを投げ捨てたことにどれだけの効果があったのでしょうか?

そして、何を捨てたら鳴子章吉はこの勝負に勝てていたのでしょうか?

今回は科学的にこれらの疑問に答えを見つけていきます。

前提条件

重量・その他

装備は主に実写版弱虫ペダルで実際に使用されているものを使用します。ボトルの中身は御堂筋君と対決する前に2人と勝負しているので恐らく残りの容量は300ml程度だろうという推測です。※バイクはサドルの重量などが分かる2020年モデルにさせていただきます。

重量表

気温20℃、勾配0%、風速0mとします。その他の計算条件は最後に記載してあります。

コースは1周600mを10周する全6kmのコースです。原作を見るに最後のカーブ直前にボトルを捨て、ジッパーを締め、サドルを捨てているものと思われます。そして、カーブから立ち上がり残り120mとなっているので今回の検証では残り120mになった瞬間に一瞬でこれらの動作全てを行っているものとして計算します。

また、今回の検証では「鳴子章吉の一連の行動にどれだけの効果があったのか」・「どうすれば勝てるのか」が目的なため、御堂筋君の速度はスタートした瞬間に時速45km巡行になり、残り120mになった瞬間に時速55km巡行になったと仮定させていただきます。※鳴子章吉の速度も全て巡行速度とします。

鳴子章吉と御堂筋君の差

スプリント前(5.88km)

最後のカーブ中にすでに鳴子章吉は御堂筋君に遅れを取っており、2人の間には自転車3/4台分ほどの差があります。今回は自転車1台166cmとして計算し、ゴールスプリントが始まる前に鳴子章吉はすでに124.5cm遅れているとします。

つまりゴールスプリントが始まる前の5.88km地点までは御堂筋君と鳴子章吉の間には0.0996秒しか差がついていないことになります。(御堂筋君:時速45km、鳴子章吉:時速44.9905km)

ゴールスプリント(120m)

鳴子章吉のゴール地点ではアニメ弱虫ペダルで確認したところ図のようにホイール8.25個分の差が開いていました。

御堂筋君と鳴子章吉の差

タイヤは時代的に23cを使用していると仮定しホイールの大きさは一つ670mmになり、鳴子章吉は御堂筋君から5.5275m遅れてゴールしています。

この図から125.5275mまでに御堂筋君のかかる時間は8.2163秒、鳴子章吉はスプリント開始前にすでに遅れているので同じ時間で121.245m進むことになります。

遅れている分も含めて計算すると鳴子章吉のゴールスプリントの速度は時速53.2236kmになります。よってスプリントで着いた差は3.8765mということになります。(御堂筋君:時速55km、合計の差は5.349m)

お待たせしました!早速、鳴子章吉の行動による効果を見ていきましょう。

鳴子章吉の行動による効果

ボトルを捨てる効果

ボトルを捨てたことによってボトル本体の重量54gと中身の水300g、合わせて354g軽くなりました。これによって体重以外の重量が9.442kgから9.088kgになりました。

これは0.2701wの削減に値し、0.0082km/h向上し、ゴールタイムが0.0013秒短縮できたことになります。(実際のタイム差0.3618秒)

ジッパーを上げる効果

ジッパーを上げる効果に関しては、GCNがレインウェアのジッパーを全部閉めた際と半分開けている状態での空気抵抗を求めています。以外な結果ですが、なんと時速30kmの時において半分開けている方が2.9w削減出来るという結果になっています。

この結果を受け、空気力学のスペシャリストであるザビエルディスリーさんは「空気力学というのは不思議なもので、時々そういうことが起こる」「ポジションや服の素材によっても変わる可能性がある」と述べています。(参考動画はこちら

また、アニメ版の様々な鳴子章吉のジッパーの開け具合を測ったところ平均して18%ほど開けていました。

恐らくサイクルジャージのジッパーを締めることによって空気抵抗を抑えることは出来ると思われますが、GCNの実験結果や鳴子章吉が約18%しかジッパーを上げていないこと、プロ選手でもジッパーを開けながら走っている選手も多いことを考えると鳴子章吉がゴール前120mの時点においてジッパーを上げたことは微小な効果であり、速度にほとんど影響しないと考え、今回は効果無しとさせていただきます。

シートポスト・サドルを捨てる効果

レース中にサドル・シートポストを投げ捨てる選手は今後も鳴子章吉くらいだと思われます…(何より走行中に外すのが至難)

サドルはPRINCEに付属してくるMOSTのLYNXとします。重量:220g

シートポストも同じく付属してくるカーボン エアロとします。重量:227g

合計して447gの軽量化になります。

↓↓このバイクのシートポストとサドルを引っこ抜きます!

プリンス2020引用:PINARELLO

これは0.3411w削減に値し、速度が0.01037km/h向上し、ゴールタイムが0.0016秒短縮できたことになります。(実際のタイム差0.3618秒)

まとめ

ボトル、サドルを捨て0.8kgの軽量化をすることが出来体重以外の重量は9.442kgから8.641kgとかなり軽量化は出来ていますが、0.6112w削減、0.01858km/h速度向上し、0.00280秒短縮する効果しかありません。

これらの軽量化を行うことによってタイムは全体の0.77%、距離にして約4cm縮まりました。迫力のわりに効果は小さいですね笑。

ヒルクライムに比べて平坦は重量の影響はザクということが分かります。では、鳴子章吉が勝つにはどうすれば良かったのでしょうか?

鳴子章吉がスプリントで勝つ方法

スプリントに入る前に1.245m遅れているので鳴子章吉は逆転勝利する必要があります。鳴子章吉が御堂筋君より0.0001秒でも速くゴールするには時速55.7074kmでスプリントしなければなりません。これには出力をあと85.5024w上げなればいけません。

果たしてそんなことが出来るのでしょうか?

出来ます!

残り120mになった瞬間にボトルを捨て、ジッパーを上げて、サドルを投げ捨てる+スキンスーツに着替え、ヘルメットをTTヘルメットに変え、シューズカバーを装着することによって鳴子章吉は逆転勝利することが出来ます。

これらの装備によって93.5356w削減することができ、 速度にして2.7063km/h向上し、55.9299km/hになるので0.031秒差で御堂筋くんに勝利することが出来ます。恐るべしエアロ効果…

鳴子章吉が逆転勝利効果 表

スキンスーツやTTヘルメットで時速55kmで数十wも削減できる根拠はこちら!!

おまけ

レースが始まった瞬間にボトル・サドルを投げ捨てていた場合(計801gの軽量化)

初めから捨てていた場合、0.0016m鳴子章吉はリードしてスプリントに入る形になります。しかし、途中で御堂筋君に飲み込まれてしまい0.1348秒差で鳴子章吉は負けてしまいます。

レースが始まった瞬間にボトル、サドル、サイクルジャージ上下、ビンディングシューズを投げ捨てた場合(計1531gの軽量化)

スプリントに入る前に2.9958m(0.3341秒)先行して、0.0745秒差で鳴子章吉が逃げきり勝利をすることが出来ます。

初めからスキンスーツ・TTヘルメット・シューズカバーを装着していた場合

5.88kmを走る速度が47.2412km/hになり、スプリントも55.9122km/hで走行することができ、御堂筋君より22.4445秒(302.375m)も先にゴールすることが出来、圧倒的勝利することが出来ます。

まとめ

鳴子章吉のサドルやボトルを捨てる効果は平坦において、想像していたより小さいものでした。時速50kmでは空気抵抗が85%以上を占めるので、スキンスーツやシューズカバーの効果は絶大なものでした。装備次第で実はあのレースに勝てていた。なんてことがあるかもしれません。これからも自転車科学では1秒でも速くなるような記事を更新していきます!

鳴子章吉は大阪の海辺の四角い周回コースを使用しているので岸の浦周回が近いと思われます。

計算条件

上記計算に使用した条件です。また、数値に若干のずれが生じることがあります。
※CdA:0.277[m^2]は、ドロップハンドルを握っている体勢における値です。ボトルやサドルのCdAの変化は考慮していません。

鳴子章吉計算表

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